愛する学園の わが子に贈る

山本伸一

 

 

最後の一歩まで

断じて退くな!

幸福は 前にあるからだ

後ろに引き下がる青春は

自らの宝を

捨て去ってしまうからだ

 

断じて 前へ進め!

断じて 前へ歩め!

断じて 前へ行け!

必ず そこには

希望と金の汗と

勝ちゆく鼓動と

満足の魂の輝きがある

 

強い人間には

正義が光る

弱い人間には

勝ち抜く力がない

 

21世紀の舞台を

踊り走る 英知の若獅子を

育てゆくのが

わが創価学園である

 

この学園は

青春の精髄を

人間の真髄を

学問の究極を

生命深く授けんとする

世界一の若き学舎である

これこそ今までの歴史が

物語っている

幾多の彼らの事実が

語り残している

 

「学ばずは卑やし」との

生き生きとした校風が

この世の知性の太陽となって

煌めいている

 

ある偉大な外国の教授は

「学園は二十一世紀の

模範中の模範の学校なり」と

著名な日本の教師は曰く

「荒廃している学校教育の中で

奇跡に近い

理想的な教育をなさるのは

なんと偉大なことか!」

 

多くの来客が

見学に来られる

ある方は教師を誉め

ある方は生徒を誉め

ある方は環境を讃え

 

また ある人は

登校下校の凛々しい

礼儀正しい紅顔の美少年を

誉め讃えてくれている

 

新世紀の指導者を

育成しゆく

鳳雛の英知の城は

東には

富士が見える武蔵野に

また西には

山と緑の関西の交野に

 

その世紀の創価の学舎の

春夏秋冬は

若々しい血潮と

清らかな瞳が

波のごとくきらめいている

 

瑞々しい魂

底抜けに明るい笑顔

打てば響く歓声の

花と咲く頬の色

 

私はいつも妻と語る

「お腹はすいていないか」

「寒くはないか」

「お小遣いは足りているか」

「友達と仲良くやっているか」

「寂しい思いをしていないか」

「悩んでいないか」

 

ああ 来る日も来る日も

若き英才たちの姿は

私の心を離れないー

 

創価教育の父たる

牧口先生の意志は ここに!

戸田先生の決意も ここに!

 

牧口先生は 常に

夢を広げておられた

「創価教育学の学校を

小学校から大学まで」と

 

その遥かな構想を

戸田先生は

私に託された

「偉大なる牧口先生の

教育思想を

埋もらせてはならない」

 

「教育しかない

教育なくして

人類の未来も幸福も

平和もない」-

 

一九六八年 春の四月

緑と小川に囲まれた小平に

創価中学・高校が

晴れ晴れと開校した

 

そして

「創価一貫教育」の構想は

次々と花開いた

創価女子中学・高校

東京創価小学校

関西創価小学校

札幌創価幼稚園

香港 シンガポール

さらにマレーシアの

創価幼稚園―

 

学園の卒業生は

もはや

政界 財界 教育界

医学界 法曹界 等々

ありとあらゆる社会の分野で

すばらしき貢献をしている

世界では

アフリカ 北南米

アジア オセアニア

ヨーロッパ

ロシア キルギスをはじめ

百数十カ国で

一流の使者として戦っている

そして

創価の栄光の名を

燦然と残し綴られている

 

ある日 ある時

ふと 私は妻に漏らした

「嫉妬うず巻く日本を去ろう

世界が待っているから」

 

その時 妻は

微笑んで言った

「あなたには 学園生がいます

学園生はどうするのですか?

きっと 寂しがりますよ」

 

そうだ!

そうだ 学園がある!

未来の生命たる

学園生がいる!

君たちのためなら

私は

いかなる迫害も

いかなる中傷も

いかなる試練も

まったく眼中にない

 

一九七九年(昭和五十四年)

せめてもの思いで訪れた

東京校の栄光寮

生徒たちに声を掛けながら

各部屋を歩いた

「健康に気をつけてね」

「お父さん お母さんに

心配をかけないように」

 

散らかし放題の部屋もあった

だが

皆 わが子だ

皆 元気だった

皆 若獅子であった

何よりも

師弟の道を熟知している

彼らであった

本当に会えることが嬉しかった

 

関西校の娘たちを

私は「園子」と愛称していた

寮に住む一人の園子に

妻と二人で電話し

激励をしたこともある

そして

皆への伝言も託した

「今は会えなくて

寂しいかもしれないが

皆で仲良く団結して

強い心で頑張りなさい!」

 

その年の暮れ

園子たちは

真心の千羽鶴を届けてくれた

清らかな思いを込めて

「学園生は 元気です!」と

綴られていた

 

言葉に尽くせぬほど

あまりにも 愛おしき

あまりにも 頼もしき

わが学園生よ!

創価の不滅の宝よ!

 

学びゆく若き 君たちよ!

やがて輝く黄金の翼に乗って

皆と一緒に!

私も一緒に!

どこまでも高く

どこまでも遠く

賢明に 賢明に

大空へと舞ってゆこうよ!

 

君たちよ

君たちには

長い大事な人生が待っている

断じて負けてはならない

これが学園魂だ

 

平凡な人生でもいい

無名な人生でもいい

社会的に偉くない人生でもいい

下積みの人生でもいい

つまり

自分自身の人生を

どう生き抜くかという

心の勝利者になりゆくことだ

 

負け惜しみを言う必要もない

弁解をする必要もない

後悔をする必要もない

 

人生の教師ソクラテスは言った

「正しい生活を送った者は

よりよい運命にあずかり

不正な生活を送った者は

より悪い運命にあずかる」

 

細くとも

険しくとも

草むらであっても

凹凸があっても

泥沼であっても

自分の

天から与えられた

「わが道」を

勇敢に進んでいくことだ

 

ただ 父母に心配をかけるな

友達を大切にすることだ

社会に絶対に

迷惑をかけないことだ

後輩たちを

大切にしてあげることだ

 

生命の究極の法則たる

信仰を忘れないことだ

法則を外れた人生は不幸である

法則に生き抜いた人は

最後は 幸福の天地に到達し

所願満足の人生を

飾ることができるからだ

 

要領よき人の行く末は

落とし穴が待っている

不正に生きる人間の末路は

苦渋の谷が待っている

誠実に生き抜く人の未来は

勝利の旗が待っている

 

だから 君たちよ

勇気を持て!

誠実に生き抜くことだ!

勇気とは

誠実とは

自分の決めた この道を

どこまでも貫いていく

その決心の深さだ

その持続の強さだ

 

世界は 君たちを知っている

世紀は 君たちを見つめている

 

ゆえに

今は 勉学を!

今は 読書を!

今は 体力を!

君の決めた何か一つを!

若い翼を 鍛えに鍛えよ

 

歴史的に有名な

学園「アカデメイア」を創立した

かのプラトンは

「誰か後継者を残さないかぎり

その多大な労苦も

束の間の いのちに過ぎない」と

 

わが創価大学の

存在する八王子は

今や学園都市と言われる如く

有名な大学等が

数多く結集する

その使命を同じくする学友と

創価の学徒は

有意義に

人生を語り

学問を語り

仏法を語り

未来を語り合っている

学生部の先輩が

君たちの広々とした道を

切り開いている

 

高等部の諸君も成長している

中等部の皆さんも 光っている

少年少女部の若芽も 伸びている

 

「生命の尊厳」

「人格の尊重」

「友情の深さ・一生涯の友情」

「暴力の否定」

「知的・知性的人生たれ」-

この学園の五原則を

断固として実践しゆく人は

みな学園生だ

 

創価の若き同志は

学園生と一体になって

黄金の魂の輝きを

互いに照らし合っていく

 

君たちから

遥かな後継へと

脈々続く創価兄弟の

悠久の流れの中に

私の生命は生き続けていく

 

その成長を見守ることを

最高の命の支えとして

最大の心の翼として

私は世界を 翔け続けよう!

君と 君たちと!

共に離れずに!

永遠に共に!

 

ルネサンスの巨人

ダ・ヴィンチは言った

「太陽は 決して

いかなる影をも 見ない」

 

君たちは

未来に輝く

若き英知の帝王

天真爛漫たる

太陽なのである

 

 

 

二〇〇〇年 二月六日

 

沖縄にて 桂冠詩人