広宣流布のために断じて戦い抜こうとする強き一念の前には、逆境はない。すべての困難や悪条件は、闘魂の炎を燃え上がらせる風となる。
 山本伸一は、思うように部員と会うことができないだけに、寸暇を惜しんで、皆に手紙を書き、激励を重ねた。悩みを抱えたメンバーがいれば、深夜でも自宅に招き、全力で指導にあたった。
 彼は毎日の激闘で、床に入っても寝付けぬほど、心身ともに疲労困憊した。しかし、唱題と執念で、一日一日を乗り越えていった。
 “今、戦わなければ、戸田先生の広宣流布の構想を破綻させることになる。そうなれば、終生、悔いを残すことになる。そんなことは絶対にできない!”
 伸一は「此の五字を弘通せんには不自借身命是なり」との御文を胸に刻み、日々、自己の極限に挑んだ。


『新・人間革命』民衆城の章