「青春時代」「社会に出る時代」「結婚する時代」等と、人生には時代がある。その時代を、一歩一歩進んでいくのが道理です。
 ほとんどの恋愛は、後になれば、幻のようなものです。しかし、勉強は幻ではない。勉強の炎を消してはいけない。無軌道になってはいけない。軌道の人生を生きなさい。
 家も、土台をいいかげんにつくっては使いものにならない。米も、研がないで炊いてはまずい。手を抜いた分、後の結果は明らかです。まだ社会で生活もできないのに、大人ぶるのは愚かなことです。
 今、やるべきことをやり切っている。そう頑張っているあなたであってこそ、将来の素晴らしいドラマにふさわしい自分をつくれるのではないだろうか。
 せっかく将来開花しようとしている大切な“芽”を、つんではいけない。恋愛だけになると、自分で自分の可能性をつんでしまう人が、あまりにも多い。

〈中略〉

 日常生活は地味です。平凡です。毎日の努力は苦しいし、楽しいことばかりあるはずもない。それに比べると、恋愛には“ときめき”があり、ドラマがあるように思える。自分が小説の主人公になったような気がする。
 しかし、「おもしろくないから」といって、歩むべき軌道を外れて、恋愛に飛び込んでも、それは逃避です。夢を見ているようなものだ。夢は、見ている時は本当だと思っている。
 しかし、恋愛に逃避しても、実際には、楽しいことばかり続くはずがない。むしろ、だんだん苦しいこと、悲しいことが増えてくる。どんなに逃げても、自分からは逃げられないからです。弱い自分のままでは、どこまで行っても、苦しみしかない。自分で自分を変えないで、喜びはないのです。
 幸福は、だれかが与えてくれるものではない。恋人が与えてくれるのではない。自分が自分で幸福になっていくのです。
 そのためには、自分を大きく育てるしかない。「自分を十分に生かす」しかない。自分の成長や可能性を犠牲にして、恋愛をしても絶対に幸福はない。「自分を十分に生かす」ことによって得られる幸福こそ本物です。
 十代のころは、まだ視野も狭く、自分を本当に生かす道を見つけていない。だから恋愛が最高のように思ってしまう。しかし人生は恋愛だけではないのです。
 女性の本当の幸福は四十代からが勝負です。
 第一、何かから逃避するような恋愛では、相手に対しても、自分に対しても失礼でしょう。あせってほしくない。若いのです。今は自分をうんと素晴らしい人間に磨くことです。


『青春対話』