素晴らしい恋愛は、実は、誠実で成熟した「自立した個人」と「自立した個人」の間にしか生まれない。自分を磨くことが大切なのです。

〈中略〉

 相手に媚びて、恋愛するのは惨めだ。それは、あなたの思いやりでも、心の深さでも、愛情でもない。自分の望まない“つき合い”をするくらいなら、嫌われたほうがいい――それくらいの毅然たる自分であっていい。
 本当の愛情は、もたれ合いではない。確固とした「自立の個人」の間にしか生まれないのです。
 浅く安っぽい人間には、安っぽい恋愛しかできない。本当の恋愛をするなら、本気で自分をつくるのです。それは、相手に合わせることでも、見栄をはったり、表面をとりつくろうことでもない。
 また愛情があれば、相手の望まないことを無理強いするはずもないし、責任の取れない無責任な冒険をすることはないはずだ。
 その意味でも私は、男性はナイト(騎士)の精神で女性に接してほしいと思う。女性を尊敬し、大切に守っていく姿勢を忘れてはいけない。女性に甘えるのではなく、ある面では“父親”のような慈愛の眼をもつというか、相手の一生の幸福を第一に考えてこそ真の男性であり、真の愛情です。
 自分が親となり、娘をもてば、どんな気持ちがするか。その娘が恋愛をしたら、相手の男性にどんな態度をとってもらいたいか――そういう父親の気持ちがわからないようでは、人を愛する資格はないのではないだろうか。

〈中略〉

 ともあれ、今、どんな楽しいように見えても、また自分はどんなに真剣のつもりでも、成長の軌道を外れては遊びとなってしまう。遊びは、どこまでいっても遊びである。どんな大きな数字でも、ゼロをかければ、結局はゼロになってしまう。そのようなつき合いは悲しい。


『青春対話』