一般に「法は最小限の道徳」といわれるように、善悪にわたる人間の様々な行為に対して、法が裁き得るのはそのごく一部に過ぎず、法の救済の手が届かない人々が無数にいる。いわんや宿業に起因する人間的諸苦悩は、法の力だけでは到底解決できるものでもありません。
 法の持つ力と同時に、その限界を正しく知る謙虚さこそ、“人間学の大家”としての大切な要件であると申し上げたい。


創価大学法曹会指針集
『正義と人間の勝利へ』