秋桜は一年草。
 だから、この秋に――ただ一つの秋に巡り合うために生まれてきた。
 ただ一つの笑顔を青空にほめられたくて、背を伸ばし、伸ばししている、その一途さ!
 だれのまねもしていない。
 だれをうらやみもしない。
 一心に、本気で生きている彼女には、くよくよするひまもない。ただ、かけがえのない今を生きるだけ。だから楽しい。苦しくても楽しい。
 人も、この一生(ひとよ)に、ただ一つの花を咲かせるために生まれてきた。
 自分にしかできない自分の使命(つとめ)を開花させるために。何かあるはず。自分にできる何かがあるはず。
 自分にできることを、すべてした人。その人が「花」だ。
 だから、あなたよ、花と咲け。二度とない人生。だれに遠慮がいるものか。花と咲け。
 花よ咲け。心に咲け。暮らしに咲け。大きく咲け。
 心の花こそが、この世の旅路のその果てまでも、あなたを飾る明かりとなる。


池田名誉会長の写真紀行 光は詩う
第1回 兵庫 秋桜の風(抜粋)

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